男性相談の役割

~気持ちに寄りそう~

ここで私が扱う〈男性相談〉は、原則として、「傾聴」を基本に、悩み・気持ちを聴くというスタイルのものを想定しています。

男性が、他者との関わりの中で自分について話すことを通して受けとめてもらう体験をし、自分の気持ちに気づいていくことができればと思っています。

しかし、気持ちに寄り添い、その人自身の力が発揮されるよう支援するという「心理」的な領域だけでは不十分だと思っています。さらにその先に、男性のおかれた社会状況などの構造的な課題、「社会」的な領域をも視野に入れることが大切です。必要に応じて、ソーシャルワークのような関わりも求められるでしょう。

その際に欠かせないのが、ジェンダー(社会的な性)の視点です。〈男性〉性のありようは歴史的・社会的なもので、あらゆる社会関係の網の目の中に組み込まれています。あえて「男性相談」を開くとすれば、この男性性というジェンダーの課題は避けて通れないと思っています。

そのように、個人のこころの状況と、ジェンダーの視点に基づく社会関係の状況の両方を交差させながら話を聴き、また、話すことで、悩みが自分ひとりのものではないことや、社会との関わりのなかにあることの理解を支援することが望ましいと考えています。

 

法律相談等、他の専門相談との関わり

~葛藤があるときに~

法律的な解決方法や行政の手続きに関する問い合わせ、継続的な福祉的援助が必要な場合などは、専門の相談窓口を紹介されることになると思われます。

ただし、最終的な目的が、専門的な窓口に関する問い合わせなどであったとしても、その課題にどのように向き合えばよいのかという葛藤や、自分の気持ちが自分でも整理できていないといった状況は、当たり前にあることだと思います。

そんなときに、自分自身の状態や感情について誰かに話すことで、気持ちが整理され、課題にどのように向き合い/あるいは回避するか、どのように解決していけばよいか、といった筋道が、自分自身の納得をもって、みえてくることがあります。

このような「気持ちに寄り添う」という対応は、通常の法律相談や行政相談ではあまりなされないのが現実だと思われます。そういったときに、〈男性相談〉を活用することも考えられます。