公共劇場

 eトコと呼んでいる小さなフリースペース(僕の自宅でもある)で、たまに小さなコンサートを行っている。
 前回は、アマチュアだけれども、雑誌主催のコンテストでグランプリを獲ったりもする、実は凄腕のキーボード奏者に来てもらった。そこに、よくうちへ遊びに来る近所の子どもたちが、歌や演奏でゲスト出演するという趣向である。踊りもあった。
 曲目は、「エンターテイナー」もあれば、「夢をかなえてドラえもん」があったり、「チェリー」(スピッツ)、「G線上のアリア」、奏者のオリジナル曲など様々で、要するにごった煮な感じでもある。ゲストも次々に登場する。
 だからかっこよいライブではなく(主演奏者はかっこよいのだが)、手作り感満載のコンサートである。来ているのは、僕たちや演者の知り合いや、近所の子どもたち、近所のおばさま方であったりする。
 それでも、普段はひざが痛くてあまり出歩かず、コンサートもずっと居れるか心配していた近所の方が、「楽しくて時間がたつのを忘れた」と言って、最後まで居てくださったりすると、こちらもうれしくなる。音楽の力だと思う。
 大きな劇場ではなかなか達成できないこのような機能を、この小さなホールで実現していこうと思う。そして少し大げさに、また、言葉の意味を少しつくりかえながら、このように地域に埋め込まれた劇場こそが、<公共劇場>なのだと宣言しよう。

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