セーフティネットとしてのeトコ活動

 2008年度〜2009年度に私たちが週末里親をしていた元・里子(2010年度は実親及び継親の元で生活をはじめていました。現在中学1年生)が、今年1月11日、eトコに「避難」してきました。

 元・里子は、虐待的な環境の中で、親の元には絶対に戻らない、と考え、親・監護者は、現時点で、養育を放棄し、施設への入所を希望しています。

 元・里子がeトコに「仮住まい」をする中で(その旨は親・監護者、大阪市こども相談センター(児童相談所)も了解済)、私たちは、子ども本人がきちんと自分の意見を表明し、その意思が尊重されるようなサポートを心がけました。その過程の中で、こども相談センターとも話し合いを行ってきました。

 私たちは、対立したかったわけではありませんが、とりわけ、「教育を受ける権利」については、こども相談センターとの話は平行線に終わりました。

 こども相談センターは、まず一時保護所に入所させ、その中で今後の処遇を検討しなければ何事も判断できない、との立場です。なお、一時保護所では行動の自由が制限され、学校にも行くことはできません(外出・面会も不可)。

 本人は、いずれ施設に行かざるを得ないことは理解しているものの、一時保護所にすぐには行きたくないと思っており、学校にも通いたいと思っていました。私たちは、その思いをふまえて、「委託一時保護」にできれば、eトコ等から学校に通うことも可能であり、3学期の間だけでも通学し、春休みに一時保護所に入所のうえ、新年度から児童養護施設等に入所できれば一番よいのではないか、と伝えてきましたが、叶いませんでした。(なお、この意見は、当初、担当ケースワーカー自身が、委託一時保護の可能性について言及していたことをふまえています。)

 結果として、元・里子は、約3週間、eトコに滞在した後、2月3日の夜、一時保護所に入所しました。
 「最後の晩餐」にはeトコに、これまで元・里子と会ったことのある12人が集まり(前日にも、9人が集まり、食事をともにしました)、みんなで出発を見送りました。

 元・里子が家を出ざるを得なくなったときに、eトコという場所があったことは、束の間であれ、彼の「安心・自信・自由」を確保する意味があったと思っています。
 そしてこの間、多くの人と触れあうなかで、彼自身がエンパワーし、自分の思いを言ってもいいんだということを知り、自分の気持ちを語りだす力を獲得していったように思います。

 私たちは、元・週末里親という、単なる「他人」にすぎないので、今後、関わっていくことは困難になります。ただ、彼自身が、自らの意思で選任した「代理人」である弁護士(彼が自分で探し出して購入した印鑑で、自分で書類も交わしています!)が、引き続きサポートを行う予定となっています。

 今回の件は、eトコに関わる多くの人の支援もあって、eトコがセーフティネットとして機能したのだと思っています。ありがとうございました。そして、引き続きよろしくお願いいたします。

コメントを残す