被災地で公務に従事している労働者のサポートを目的として、「現実への帰還のため」のマニュアルが作成されました。
応急対応期が終わってからの、生活のための手引きです。
僕が宮城に行って、利府町の児童館にお邪魔した時に横を通った、すぐそばにある県の大きな体育館が、遺体の安置所になっているとお聞きしました。そこへ運ばれてくる遺体を確認する仕事が、所在地である利府町役場に割り当てられたそうです。
僕が行った時点ですでに大震災から2か月近くです。遺体も傷みが激しくなっています。その確認を、素人の町職員がするのです。
「そんな仕事を、若いもんにやらせるわけにはいかない」といって、定年も近くなっている課長が自ら手を挙げて、確認を続けているといいます。
そのように、見えないところで多くの人たちが、静かに、勇敢に、仕事をしています。
標題のマニュアルでは、「被災直後から寝ずの仕事を続けてご遺体などに向き合った人は、必ずこころのケアチームや保健師と面談をしてください。」と記載されています。
けれど、このような仕事の数々も、多くの人に知られることもなく、「災害ユートピア期」を過ぎた後に、特に役場の人たちは、本格的な復興に向けて、さまざまな軋轢の中で生活をしていくことになります。
新しい日常生活をともに生き抜くことが求められています。
◆マニュアルのアドレス
(1)『1000時間後のあなたへ〜東日本大震災で頑張ったあなたへ〜』
(「現実への帰還のために」〜災害対応職員向けマニュアル)
http://www.shinsugok.com/research/images/after1000hour_manual.pdf
(2)『自己チェック』
(「燃え尽き症候群の気配」〜自己診断表)
http://www.shinsugok.com/research/images/burnout_check.pdf