高校を中退する毎年10万人近い若者たちは、どのような生活をすることになるのでしょうか。
この本では、いわゆる「底辺校」といわれる高校に、中退が集中している現実と、それらの学校の実態、その背景を構成する現在の貧困を明らかにしています。
日本では、大学等への進学率が過半数を超えていますが、そもそも進学以前に、小中学生レベルの基礎学力がなく、経済的な支えもないまま、中退していく高校生たちの現実と、教職員の苦闘や疲弊を、誰も直視してきませんでした。
高校教育は、高学歴層と貧困層との二極化のなかで地崩れを起こしはじめています。
それは、昨今の「教育改革」が触れようとしない負の側面です。
神奈川と大阪での詳細な調査を通して、貧困が高校中退をうみ、高校中退が貧困をうみだしていく悪循環を、鮮やかに描き出しています。