刺激的な標題は、最近読んだ本(2013,新潮新書)のタイトルです。
著者の岡本茂樹さんは、刑務所で受刑者の更生を支援する活動をされています。
まず反省文を書かせるようなことや、被害者感情を考えさせることからはじめる
と、かえって、問題が「抑圧」され、先送りされて爆発することになる、といい
ます。刑期をまじめに務めあげることは、現状では、誰にも心をひらかず、人と
つながるすべをもたずに、再び社会に出ることを意味します。
著者が取り組むのは、「加害者の視点」からはじめるということです。まずは、
加害者の持つ、否定的な感情を吐き出させること。そのように自分と向き合うこ
とを通じて、はじめて、他者のことを考えられるようになるというのです。
再犯しないための最大の条件は、「人に頼ること」だと言います。強がって生き
てきた人たちが、自分の弱さもさらけだし、それを受け止めてもらう体験をする
ことで、他者との関係性を肯定的に感じる契機をつかみ、ほんとうの反省も生ま
れるのだということです。
著者は、このような対応の土台を、教員の経験、教育センターや大学での相談対
応の経験で培っていることもあり、本書の後半では、しつけや教育についても同
じ視点から考えていきます(頑張る「しつけ」が犯罪者をつくる)。
ありのままの自分を出せることの大切さが強調されています。そのためには、あ
りのままの自分を出せる人間関係を築いていることが条件になります。
そんなにうまくいくものか、というふうにも思いますね。
でも、「加害者」とどのように関わるのかは、人とのつながり方や、私たちの内
なる「暴力性」ともつながる課題だと思っています。
(eトコ情報通信 2014年6月14日号より転載)