Googleは東北の震災後、被災地の様子をストリートビューに記録することを公表し、現在も撮影し続けています。
ストリートビューに対する様々な意見はありますし、震災直後に撮影を行うことへの躊躇なども感じながらもプロジェクトを進めていくと、多くの人が、すべての状況を記録しておいてほしいと考えていることがわかってきたのだといいます。
「Googleストリートビューが被災地を撮影し続ける理由 〜震災前の日常風景と震災の爪痕、復興がデジタルアーカイブ化 2016年3月11日(ASCII.jp)」
撮影を続けるうちに、過去のストリートビューの画像を消さないでほしい、という要望が出てきます。
「ストリートビューの過去の写真は消さないでもらえるだろうか。軒先には、私のおばあちゃんが座っているのが写っているから」、そんな声もあった。
Googoleは当初の予定を変更して、ストリートビューに「タイムマシン機能」を実装します。
変化の記録そのものを「未来へのキオク」として残すというのです。
「災害はかならすどこかで起こるものです。そこでどんなアクションをとるべきか、もしかしたら今回のことが役に立つかもしれません。今の風景は、5年前の被災1ヵ月後に比べると、生生しさが消えています。このまま100年経てば、なにがどう危険だったのか、忘れられてしまう。現地でも、過去の津波の経験が継承されている地域とそうでない地域では、残念ながら亡くなった方の数に差が出ています。この情報を忘れかけてしまった頃に、震災のビフォー・アフターを見てもらいたい、と思います」(ストリートビュー プログラムマネージャー 大倉若葉氏)
それは過去の災害の教訓を今に活かす、現代の石碑のごときものです。
そしてそれは、情報技術と巨大なITインフラの光の部分を人間の生活のためにまっとうに使いこなす、知恵のかたちのひとつだと思っています。