2023年に家計支出に占める飲食費の割合=「エンゲル係数」が27.8%まで上昇し、これは2000年以降で最高水準だそうです。
エンゲル係数急上昇が警告する日本経済の大問題|渋谷和宏さんの「ひらけ! 経済虎の巻」。今回は10年ぶりに進行しているエンゲル係数急上昇の背景にある要因を解説(9/5)#ポリタスTV
データから明らかになるのは、エンゲル係数が2014年から急激に上昇していることです。これは第2次安倍政権での、いわゆるアベノミクスが本格化し、異次元の金融緩和とともに円安方向へ政策的に誘導されていく時期と重なっています。ここから以降、世界では賃金水準が上昇していくなか、日本だけが賃金が上がらないまま推移していきます。
このようななかで円安が進むと消費者物価が上昇し、食料自給率が低く輸入に頼る日本社会の構造の中では、食費の割合が上がらざるを得ません。しかし、賃金は上がっていかない。
しかも、徐々に進む地球温暖化による気候変動の影響で、世界中で農産物や魚介類へのダメージが続き、これも価格高騰につながっています。(上記の番組でも、牛肉よりタコの方が高くなっている、などなどの事例が報告されています。)
これらが複合的に組み合わさって、窮乏化が進み、エンゲル係数が上昇しているわけです。さまざまな形で食料支援に携わっている団体にすると、ますます厳しい状況に直面することになります。
なお、上記の番組では、生活防衛の方法のひとつとして、訳あり食品を販売したり、共同購入を支援するネットストアなども紹介されています。これらは食費を節約するだけでなく、フードロスを減らすための取り組みにもなっています。
経済格差や窮乏化が、金融政策、下がり続ける食料自給率、地球温暖化による気候変動、賃金や就労構造などの社会政策・社会構造とつながっていることを認識して対応してもらいたいと思っています。