本『沖縄の真実、ヤマトの欺瞞』

 神保哲生氏と宮台真司氏のインターネットニュース番組を本にまとめた『沖縄の真実、ヤマトの欺瞞』を読みました。沖縄の米軍基地と日本外交がテーマとなっています。僕自身、きちんとわかっていなかったことがいろいろとありました。

 まず、普天間飛行場は、宜野湾市の中心部に位置しています。実際に写真を見ると、あまりにも間近に建物等があるので、びっくりします。
 アメリカの連邦航空法と米軍運用基準では、周囲に900メートルの利用禁止区域を設けるよう定めていますが、普天間飛行場はこれをクリアしていません。具体的には、この範囲に、小学校、児童館、公民館、住宅、ガソリンスタンドなどがあります。
 ここで、朝7時から、夜11時まで、多いときは1日に300回、通常で100回、航空機が飛び交います。
 米軍は、他の国・地域では、運用基準を守り、また、住民の反対があるところでは無理に基地をつくったりしないようになってきているとのことです。その現実からすると、普天間飛行場の現状は、極めて異例の運用となっています。ここまで人間的な日常生活を圧迫していると、「日米安保」という理由だけでこの現状を正当化することはできないように思います。

 また、僕は、普天間飛行場の返還に「伴い」、辺野古沖への「移転」が検討されている、と理解していました。
 しかし、実際には、1960年代から、米軍は辺野古での飛行場建設の計画を持っていました(1966年の海兵隊の計画など)。また、1973年のアメリ国務省の文書で、普天間飛行場は市街地にあって危険であるとの認識が示されています。
 つまり、もともと辺野古で飛行場建設を計画していたが、普天間飛行場の返還が持ち上がったため、いつの間にか別のふたつの話が統合され、「普天間飛行場辺野古沖への『移転』」というストーリーに変わってきたというのです。

 さらに、沖縄における米軍基地を考える上での大前提として、2006年に日米両政府で合意された、在日米軍の再編計画である「再編実施のための日米のロードマップ」があります。
 ここで、約8,000名の海兵隊の要員と、その家族約9,000名は、沖縄からグアムに移転するとされています。なお、現実に沖縄に駐留している海兵隊は、12,400名です(定員は18,000名)。
 すなわち、現在の米軍再編の中では、沖縄に大規模な基地を置き続ける必然性はないとされているのです。ここにはもちろん、アメリカの財政状況もあるでしょう。なお、グアムへの移転経費102億ドルのうち、その60%を日本が負担することになっています(思いやり予算)。

 少なくとも、このような状況を知ったうえで、「普天間飛行場の閉鎖」の問題と、「辺野古沖への飛行場建設の必要性」を考える必要があります。

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