3万人『週末里親』計画

 
 「らいとぴあ21」(箕面市立萱野中央人権文化センター)が発行している「らいとぴあニュース」に、CVV(Children’s Views and Voices;児童養護施設等での生活経験者や支援者のグループ)が、交代でコラムを書いています。
 No.14(2012年2月号)は僕の担当で、「週末里親」がテーマでした。以下に、その文章を転載します。

3万人『週末里親』計画   文/みやーん(CVVスタッフ)

 児童養護施設には、約3万人の子どもが生活しています(平成20年10月現在30,695人)。私もメンバーであるグループ「CVV」では、「それなら、3万人が『週末里親』をすればいい!」と話しています。
 私自身が、妻と二人で週末里親をしていますので、今回はそのことについて書いてみます。

 まず、週末里親といっても、毎週というわけではありません。月に1、2回のペースで、施設にいる特定の子どもと継続して関わります。
 大阪では、(社)家庭養護促進協会が、週末里親の仲介をしています。週末里親の対象となるのは、親や親族との面会、外泊の機会が少ない子どもです。そういった子どもは、週末や夏休み、年末年始に他の子が外出していくのを見ながら、施設に残ることになります。だから一層、自分にとっての特別な人がおり、家庭的生活を経験できる場所のあることが、大切な意味と役割をもつのです。

 週末里親希望者は、まず担当者の面接、家庭訪問や研修を受けます。そして子どもを紹介してもらい、最初に会うときは施設の中で、短い時間から始めます。そして徐々に、時間を長くしたり、近所の公園へ出かけたりしながら、関係を深めていきます。そのうち、水族館に出かけるなど、行きたい場所があれば一緒に外出していきます。施設の担当職員さんとも話をして、状況を共有し、様子を見ながら、慣れてくれば、外出で家に来るようにし、さらに、宿泊もしていくようになっていきます。週末里親が集まる交流の場なども開かれ、悩みや課題が話されたりもしています。

 さて、3万人週末里親は非現実的なことなのでしょうか。
 「週末」ではなく、本格的な里親(養育里親等)は、登録者で7,808人、実際に里子を受け入れているのは2,727人です(平成20年10月現在)。3万人週末里親計画のためには、この10倍の人が必要です。ちなみに、日本の一般世帯数は5184万世帯、うち1人世帯1678万世帯を除くと3506万世帯なので、およそ1000世帯に1世帯(0.1%)が手を挙げれば、実現します。1000世帯に1世帯が、月に1、2回、施設の子どもを受け入れるということ自体は、十分ありえることだと思うのですが、いかがですか?
 本格的な里親になるには、様々な要件、審査などがあり、週末里親よりもハードルが高く、その活動も自分のペースでというわけにはいきません。しかし、週末里親であれば、無理なく始められるのではないかと思います。

 もちろん、子どもにはいろいろな背景があり、里親をする大人にもいろいろな人がいるのですが、それは血縁家族でも同じこと。だからこそ、ひらかれた家族づくりが必要だと思っています。それは孤立しない子育てを支える、ひらかれた社会づくりにつながることでもあるし、施設養護の世界をひらかれたものにすることだとも思っています。

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